辛ラーメンを通して地域を読む

本日は、昨日の話に続き、辛い食べものについて書きます。

昨日、夏になると無性に辛い料理が食べたくなる理由は、トウガラシをはじめとする辛味系スパイスの発汗作用が関係しているからだと説明しました。

本日、辛ラーメンについて紹介します。

          ここで、一つ質問です。

  「辛ラーメン」と名付けられた理由は、なんでしょうか?

 

一見ばかげた質問を見て、怒る方もいるかもしれません。

「人をバカにするな。辛いから辛ラーメンだよ!」

その気持ちはよく分かります。昨年の3月まで、私もそう思い込んでいました。

回答は違います。答え合わせは後ほどしますが、怒ったりすると頭に血が上あり、身体が熱くなります。

私は自分自身にいつも言い聞かせており、クールダウンして物事を考えよう。

       まず、辛ラーメンとは?

辛ラーメンは1986年に発売され、辛味を好む韓国人の食欲をとらえ、インスタントラーメン市場に辛味旋風を起こしました。

韓国はインスタントラーメンの消費量世界1位だと言われます。

韓国でラーメンと言えば辛ラーメンを指すのが普通です。韓国のインスタントラーメン市場では、連続市場占有率首位を維持しており、世界70カ国以上に輸出されています。

 

       そろそろ答え合わせをしましょう。

辛ラーメンと名付けられたのは、辛ラーメンの開発者として知られる、韓国食品大手「農心(ノンシン)」創業者の辛春浩(シン・チュンホ)氏の“辛”という苗字からとったのです。

辛春浩氏は今年3月27日に死去しました(享年90歳)。訃報は日本でもニュースになりました。

日本でインスタントラーメンが発祥され、「農心」が製造していたインスタントラーメンは、当初は「日清食品」の商品を模したものだったことは、想像に難くないでしょう。

 

昨日、スーパーで辛ラーメンを買いました。辛味系スパイスで身体の発汗作用を促すため、思い込みへの反省を込めて辛ラーメンを食べました。

日本の著名な文化人類学者である青木保氏はかつて、「切手1枚からでも異文化を理解することができる」と語っていました。

異文化を理解するには、遥か遠くのつかみどころのないものを追いかけるのではなく、身近にある些細なことから始めるのがよいと私は思っています。

辛ラーメンを通して韓国や韓国の食文化への理解ができると考えます。

参考文献

青木保『異文化理解』岩波新書、2001年。