【書評】『孤独のチカラ』 

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本日、教育学者で、明治大学文学部教授である齋藤孝氏の著書『孤独のチカラ』(パルコ出版 、2005年)を紹介します。

 

 

目次

第1章 失われた10年<孤独と私>
第2章 <単独者>として生きる
第3章 孤独の技法
第4章 ひとりぼっちの世界<孤独の実践者>
第5章 孤独のチカラ

 

現代人は孤独を非常に恐れる。その反動なのか、<友達がいないと不安だ症候郡>とでも言いたいほど、人とつるみたがる。2頁

 

著者は本書で、「孤独」を様々な角度から捉え、自身のエピソードを交えて、すすんで孤独になることの重要性を説き、人は孤独な時間にのみこそ成長できると力説しています。

 

つまり私の提案は、一人の時間をリラックスして過ごそう、自分自身を癒そうという主張ではない。もっと自分自身に向き合うような時間、もしくは自分の技量を深めていく時間を持とう。それこそ脳を真っ赤に燃え上がらせる知的活動のひとときは、誰もが持つべき孤独なのだ。5-6頁

 

 

著者は「ポジティブな孤独」を説き、孤独に相応しい作業を指摘しています。

 

人間的に成長しようとすれば、精神は少なくとも一度、心地いいある地点からの断絶を引き受けなくてはいけない。227頁

 

 

著者にとっての孤独のイメージは、「自分が偉人たちと地下水脈でつながっている喜びでもある(239頁)」のです。

 

著者は孤独に押しつぶされないため、読書が重要だと言います。

 

地下水脈のような脈々と流れていく確かなものをつかんでいくためには、どうしても言葉によるドリルが必要なのだ。それには、自分の魂の友を求めるような気持ちで読書をすることなのだ。それが身についていれば、孤独に押しつぶされることは決してない。246頁