【書評】『読書力』

 

 

はてなブログで紹介する1冊目の本は、日本の教育学者で、明治大学文学部教授である齋藤孝氏の著書である『読書力』(岩波新書、2002年)です。

 

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[目次]

序 読書力とは何か

Ⅰ 自分をつくるーー自己形成としての読書

Ⅱ 自分を鍛えるーー読書はスポーツだ

Ⅲ 自分を広げるーー読書はコミュニケーション力の基礎だ

 

この本の序章では、読書力とは何か、なぜ読書力に着目するのかについて書き、

第Ⅰ章では、読書が自己形成にとって強力な道であることを書いています。

第Ⅱ章では、読書をスポーツとしてとらえて、上達のプロセスについて書き、

第Ⅲ章では、コミュニケーション力の基礎としての読書の役割について具体的に書いて

います。

 

齋藤孝氏が設定する「読書力がある」ラインとは、「文庫百冊・新書五十冊を読んだ」ということです。

 

「読書力がある」ということは、読書習慣があるということでもある。読書が苦にならずに日常で何気なくできる力、これが読書力でもある。9頁

 

「本はなぜ読まなければならないのか」という問いに著者は、「自分をつくる最良な方法だからだ」と答えています。

 

読書の幅が狭いと、一つのものを絶対視するようになる。教養があるということは、幅広い読書をし、総合的な判断を下すことができるということだ。51頁

 

私は読書が好きで、年間約200冊を読んでいます。年間300冊を読んだ時期もありました。学部時代は大体図書館から本を借りて読みましたが、この本を読んでから、本はなるべく買って読むようになりました。

なぜなら齋藤孝氏は、本を読む時、「線を引きながら読む」「三色ボールペーンで線を引いて読む」とすすめています。言うまでもなく、借りた本に線を引いてはいけません。

 

読書のコツを紹介する本は少なくありません。この本を読み、印象に残ったのは、「本は背表紙が大事」と「本は並べ方が大事」、そして「繋がりながらずれていく読書」です。

 

本は内容が大事だと思う人が多いだろう。背表紙が一番大事だという考え方もある。(中略)本の背表紙を眺めることによってテンションを高めるのは悪くない方法だ。74-75頁

 

齋藤孝氏によれば、本はラインナップが大事です。

 

本と本とを結びつけて考える習慣が、読書力を格段に高める。読む本の幅を広げ、本の内容を定着させやすくするのである。孤立したものは覚えにくい。関係や連想の中で、記憶は強化される。79頁

 

また、齋藤孝氏によれば、本は本の連鎖を生むのです。

 

一人の著者がきっかけで、本の網目がどんどん広がっていく。関心も微妙にずれて広がりを持っていく。これが世界観の形成に役に立つ。一人の著者だけを偏愛しているのでは、世界観の形成に限界がある。うまくずらしながら増幅させていくのが、自分をつくる読書のコツだ。73頁

 

齋藤孝氏の『読書力』を読むきっかけで、読書がもっと好きになり、読書量もみるみると増えてきました。現段階、約1万冊を読んできました。齋藤孝氏が書いた本も約50冊読みました。齋藤孝氏は一人の著者だけを偏愛しないようにすすめているので、いろいろなジャンルな本を好んで読み解いていきたいと思います。

 

私見では、本を読むことは、「境界」を越えることでもあると思います。「境界」について、別のブログで書きましたので、宜しければご参照願います。

 

 

 

『読書力』を読めば、本を読みたくなり、読書のコツも身に付くでしょう。