【書評】『県民性の日本地図』

本日、日本古代史研究者の武光誠氏の『県民性の日本地図』(文春新書、2001)について紹介します。

著者はこの本で人の性格や思考に多大な影響を及ぼすかもしれない県民性が出来上がるまでのルーツを、古くは縄文・弥生時代まで辿りながら各都道府県の県民性を解説しました。

 

 

 

 

 

 

 

目次
県民性を生み出したもの
東の文化と西の文化
北海道と東北地方(青森・岩手・秋田・山形・宮城・福島)の県民性
関東地方(群馬・栃木・茨城・埼玉・千葉・神奈川)の県民性
江戸と東京の気質
北陸地方(新潟・富山・石川・福井)と山陰地方(鳥取・島根)の県民性
東海地方(静岡・愛知)と三重県、甲信地方(山梨・長野)と岐阜県の県民性
京都人の気質
大阪人の気質
近畿地方(滋賀・兵庫・奈良・和歌山)の気質
瀬戸内海沿岸(岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛)の気質
九州北部・中部(福岡・佐賀・長崎・大分・熊本)の気質
高知県・九州南部(鹿児島・宮崎)、沖縄の気質
藩と県民性、そして地方の将来像

 

武光誠氏は、今日、県民性として語られるものの大要を、わかりやすいように下記の表にまとめていました。

 

f:id:officeyou328:20220207230431j:plain

           出典:武光誠『県民性の日本地図』文藝春秋、2001年、11頁。

 

 

武光氏の研究によれば、県民性の底に二つの要素があるように思われます。一つは、日本で古くから個々の盆地世界ごとに固有の文化、気質が形づくられてきたことです。もう一つは弥生文化時代の開始以来、日本の東と西でそれぞれ異なる文化がつくり上げられていったことです(16-17頁)。

 

今回調べてみて、日本にこんなたくさんの盆地があることを初めて分かりました。武光氏は、盆地の重要性について強調しています。

 

 

「日本」という国の誕生のいきさつは、盆地世界の上に立った国づくりの観点からみていかねばならない。21頁

 

f:id:officeyou328:20220207230450j:plain

           出典:武光誠『県民性の日本地図』文藝春秋、2001年、27頁。