【書評】『ピーター流外国語習得術』

本日、ハンガリー数学者ピータ―・フランクルさんの『ピーター流外国語習得術』(岩波ジュニア新書、1999年)について紹介します。

 

まず、ピーターフランクルさんのプロフィールについて紹介します。 

ハンガリー学士院会員。算数オリンピック専務理事。日本ジャグリング協会名誉理事。東京を基点として、楽しい人生を送るコツをできるだけ多くの日本人にわかってもらいたいと願い、講演そして大道芸のために、全国各地を駆け回る。日本語を含めた11カ国語を話し、これまでに60カ国以上を訪れている。「世界青春放浪記」「ピーター流らくらく学習術」「日本人のための英語術」など著書多数。
1953年 ハンガリー生まれ。                                            1971年国際数学オリンピック金メダル受賞。                                        1979年 フランスに亡命。                                            1988年から日本に定住。  

                                            

ピーター・フランクルさんは、長年日本に暮らした生活体験を踏まえて、外国人の視点から見た日本の可能性と問題点について講演しました。ピーター・フランクルさん、ユーモアのセンスも抜群で、講演の合間に手投げボールのパフォーマンスを披露して会場を和ませました。

偶々会場に行く際に、ピーター・フランクルさんと同じエレベーターに乗っていました。また、講演の後も少し会話を交わす機会がありました。日本語はもとより、中国語も非常に流暢でした。

当日、会場でサインして頂いた本は、20年間以上を経った今でも定期的に読み返しています。読むたびにひらめきを得ています。

 

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ピーター・フランクルさんは、この本で外国語を学ぶ際の8つの「体験的記憶術」を紹介します。

☆1.すぐ使ってみる

☆2.自分の単語帳をつくる

☆3.言葉の発想法を楽しむ

☆4.相手の口癖を覚える

☆5.同じグループの単語を同じ引き出しのなかに

☆6.自分のイメージを単語にくっつける

☆7.状況といっしょにまとめて覚える

☆8.脳のハードディスクに記憶する

 

非常に参考になる記憶術です。今でも実践しており、語学研修を行う際には、必ず紹介するようにしています。

余談の話ですが、北海道大学に在籍した学部時代は、英語やロシア語などの第五外国語まで履修しました。趣味が外国語学習である理由もありますが、主な理由は、ピーター・フランクルの影響を受けたからです。

この本は、外国語習得術だけを紹介したわけではありません。この本が日本語で書かれたので、日本人の読者に向けて日本語を磨くことの大事さも書いています。

 

自分の日本語を磨くことで、結果として、日本語も上達して外国語ももっと学びやすくなるはずだと思います。168頁

 

国際人になるには、英語を学ぶことだと短絡的に考えがちですが、それについて、ピーター・フランクルさんは、「英語ができるだけでは国際人ではない」と断言して下記のように述べています。

 

国際人とは、基本的には頭のなかの状態のことなのです。大切なのは自分が人間を判断するときの基準です。もしある人を民族、国籍、人種など生まれつきのものによって判断するとしたら、国際人ではありません。その人自身によって、つまりその人の言っていること、やっていること、考えていることによって判断する人が国際人であるといえるのです。人にはみんな、短所も長所もあります。大切なのは人を上下に並べないことです。(中略)国際人というのは、まさに自分の民族、国籍、人種と自分のあいだには一定の距離をおくのです。(181-184頁)

 

少し耳に痛い言葉も含まれていますが、肝に銘じる言葉だと思います。もっと多くの方にこの本を取ってほしいと願います。